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青つばめ

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2017年 06月 24日

琉球 荒焼 鬼の腕

七月まであと一週間を残すばかりとなりまして最高気温が30℃をかすめる日もちらほら。
じめじめした長雨の日は憂鬱ですが、あまりにも降雨量が少ない梅雨にも困りものですね。
今日から一週間は雨が続くとの予報なので自転車通勤の私にはちょいと覚悟が要りそうです。

昨日の午前中、出勤途中に本年初のキリギリスの鳴き声を耳にしました。
クマゼミほどの破壊的な騒音ではないにしても、決して爽快感のある美声ではありません。
しかし、独特の気だるそうな唱法には味があり、古来から夏の風物詩とされたのも頷けます。
偉大なるロバート・ジョンソンのように、ある四つ辻で魂と引き換えに得た才能なのかも。

今回ご紹介しますのは、私の大好きな古いブルーズのように泥臭い琉球の焼締陶です。

琉球 荒焼 鬼の腕_a0324998_11173334.jpg








古い壺屋焼の陶器は大別すると、施釉陶の上焼、そして無釉で焼締陶の荒焼に分類されます。
荒焼の製法は東南アジアからの影響を受けているとされることから南蛮と呼ぶことがあり、
ごつごつとした荒々しい形姿から南蛮の長い瓶には 「鬼の腕」 という絶妙な通称が付けられています。

当品も鬼の腕の例に漏れず力強い作行きでして、手取りはまるで金属のように重く、
焼成中に炎が当たった部分とそうでない部分が見事な対比を生み出しています。
そこにゆるい波線を描きながらも鋭く刻まれた輪線が加わり全体をキリッと引き締めています。

口縁に小さなホツレが複数ありますが、この程度の疵なら繕いは無粋というものでしょう。
底の角にある欠損も現状のままが好ましいですし、これによって安定さを欠くことはありません。

最後に、生け花についてちっとも知らないくせにいつも私が言っていることですが、
装飾性の少ない土器や焼締陶には野花がよく似合います。
この時期なら青々したススキカヤの類も加わると爽やかに思えるのですがいかがでしょう?


寸 法 : 口径5.0㎝ 高29.5㎝ 底径6.9㎝

年 代 : 江戸時代

備 考 : 口縁、底に小さな欠損あり


売約済



by awo-tsubame | 2017-06-24 21:00 | 売約済


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